所得税・住民税の定額減税@令和6年度税制改正大綱

e-倉

2023年12月27日 13:21

税理士の飯倉です。

今回も令和6年度税制改正大綱について記載していこうと思います。

所得税・個人住民税の定額減税

いつもは大綱の文章を先に記載していましたが
とてつもなく長い文章でわかりにくいため
最後に記載しておきます。

所得税・個人住民税別に要点をまとめると下記のようになります。

【所得税】
対象者 令和6年分の合計所得1,805万円以下の者
 ※合計所得金額1,805万円は収入が給与だけの人であれば年収2,000万円が目安となります。
減税額 本人分で3万円と、配偶者を含めた所得48万円(年収103万円)以下の扶養家族1人につき3万円
 ※もし所得48万円以下の配偶者と子供が1人いれば9万円の減税となります。
減税の実施方法
①給与所得者の場合
 令和6年6月以降の給与から差し引かれる所得税から減税し、6月に減税しきれなかった場合には、翌月以降の所得税から順次減税
②年金受給者
 令和6年6月以降の年金から差し引かれる所得税から減税し、6月に減税しきれなかった場合には、翌々月以降の所得税から順次減税
③個人事業者等
 原則は確定申告時に減税。予定納税対象者は令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)から本人分のみを減税

【住民税】
対象者 令和5年分の合計所得金額1,805万円以下の者 

減税額 本人分で1万円と、配偶者を含めた所得48万円以下の扶養家族1人につき1万円
 ※もし所得48万円以下の配偶者と子供が1人いれば3万円の減税となります。
 

減税の実施方法
①給与所得者の場合
 令和6年6月分の住民税は給与から徴収せず、定額減税後の税額を令和6年7月分から令和7年5月分の11か月で徴収
②年金受給者の場合
 令和6年10月分の特別徴収税額から減税分を控除し、控除しきれない場合には令和6年12月分以降 の住民税から順次控除
③①、②以外(普通徴収)
 第1期分(令和6年6月分)の税額から減税額を控除し、控除しきれない場合には第2期分(8月分)以降から順次控除

(注)本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合の配偶者分の特別控除額(1万円)は令和7年度分の住民税から控除される。
   

とりえあずこれを読んで感じることは
とても面倒くさい内容になってしまったなということです!
特に給与所得者(従業員分)の所得税の定額減税の事務負担を
会社に押し付けたなという印象です。

マイナンバーカードで公金受取口座の登録を促進したんだから
単純に給付金で良かったのではないかと思います。

減税を実施したというアピールをしたかったのかもしれませんが、、、
大綱通りに手続きをしようと思うと6月分の給料から所得税の減税額を引き切れなかった場合には
従業員ごとに次の月以降いくら控除しなければならないかを管理していかなければならないということですよね。

恐らく大半の人が1か月分の給料から引かれる所得税の金額は3万円に届かないと思うので
複数月に渡って管理する必要が出てくると思います。

インボイス、電帳法の対応で会社の事務負担がただでさえ増えているところに
こんなことまで要求するなんて、、、

まあ、やり方を考えてうまく対応するしかないですね!

経理、総務、事務担当のみなさん、がんばりましょう!!!


以下は税制改正大綱の抜粋です。

(国 税)
令和6年分の所得税について、定額による所得税額の特別控除を次により実施する。

(1)居住者の所得税額から、特別控除の額を控除する。ただし、その者の令和6年分の所得税に係る合計所得金額が 1,805 万円以下である場合に限る。

(2)特別控除の額は、次の金額の合計額とする。ただし、その合計額がその者の所得税額を超える場合には、所得税額を限度とする。

① 本人 3万円

② 同一生計配偶者又は扶養親族(居住者に該当する者に限る。以下「同一生計配偶者等」という。) 1人につき3万円

(3)特別控除の実施方法は、次による。

① 給与所得者に係る特別控除の額の控除

イ  令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等(賞与を含むものとし、給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与等の支払者が支払うものに限る。)につき源泉徴収をされるべき所得税の額(以下「控除前源泉徴収税額」という。)から特別控除の額に相当する金額(当該金額が控除前源泉徴収税額を超える場合には、当該控除前源泉徴収税額に相当する金額)を控除する。

ロ  特別控除の額に相当する金額のうち、上記イ及びここに定めるところにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後令和6年中に支払われる当該給与等(同年において最後に支払われるものを除く。)に係る控除前源泉徴収税額から、順次控除する。

(注1)上記イ及びロにより控除する同一生計配偶者等に係る特別控除の額は、原則として源泉控除対象配偶者で合計所得金額が48 万円以下である者又は扶養親族で居住者に該当する者について算出する。

(注2)源泉徴収の際の上記イ及びロによる控除は、現行の源泉徴収をされるべき額から行う。

(注3)上記イ及びロについて、給与所得者の扶養控除等申告書に記載した事項の異動等により特別控除の額に異動が生ずる場合には、年末調整により調整する。

ハ 上記イ及びロにより控除された後の所得税額をもって、それぞれの給与等につき源泉徴収をされるべき所得税の額とする。

ニ 令和6年分の年末調整の際に、年税額から特別控除の額を控除する。

ホ 上記イ及びニによる控除について、給与等の支払者が同一生計配偶者等を把握するための措置を講ずる。

へ 上記イの給与等の支払者は、上記イ又はロによる控除をした場合には、支払明細書に控除した額を記載することとする。

ト 上記イの給与等の支払者は、源泉徴収票の摘要の欄に控除した額等を記載することとする。

② 公的年金等の受給者に係る特別控除の額の控除

イ 令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払を受ける公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除く。)につき源泉徴収をされるべき所得税の額について、上記①イからハまで(上記①ロ(注3)を除く。)に準じた取扱いとする。
(注)上記イについて、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載した事項の異動等により特別控除の額に異動が生ずる場合には、確定申告により調整する。

ロ 上記イの公的年金等の支払者は、源泉徴収票の摘要の欄に控除した額等を記載することとする。

③ 事業所得者等に係る特別控除の額の控除

イ 令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額を控除する。

ロ 特別控除の額に相当する金額のうち、第1期分予定納税額から控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、第2期分予定納税額(11 月)から控除する。

(注)予定納税に係る上記イ及びロによる控除は、現行の納付すべき額から行う。

ハ 予定納税額の減額の承認の申請により、第1期分予定納税額及び第2期分予定納税額について、同一生計配偶者等に係る特別控除の額に相当する金額の控除の適用を受けることができることとする。

ニ 上記ハの措置に伴い、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額の納期を令和6年7月1日から9月 30 日までの期間(現行:同年7月1日から同月 31 日までの期間)とするとともに、同年6月 30 日の現況に係る予定納税額の減額の承認の申請の期限を同年7月 31 日(現行:同月 15 日)とする。

ホ 令和6年分の所得税に係る確定申告書を提出する事業所得者等は、その提出の際に所得税額から特別控除の額を控除する。

(4)その他所要の措置を講ずる。
(注)今回の特別控除の緊要性に鑑み、これを円滑かつ早急に実施するため財務省・国税庁は直ちに必要な準備作業に着手すること。具体的には、源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるよう、財務省・国税庁は、法案の国会提出前であっても、制度の詳細についてできる限り早急に公表するとともに、源泉徴収義務者向けのパンフレットの作成等広報活動を開始し、給付金担当を含む関係省庁や地方公共団体ともよく連携しながら、制度の趣旨・内容等について、丁寧な周知広報を行うこと。

(地方税)
令和6年度分の個人住民税について、定額による所得割の額の特別控除を次により実施する。
(1)納税義務者の所得割の額から、特別控除の額を控除する。ただし、その者の令和6年度分の個人住民税に係る合計所得金額が 1,805 万円以下である場合に限る。

(2)特別控除の額は、次の金額の合計額とする。ただし、その合計額がその者の所得割の額を超える場合には、所得割の額を限度とする。

① 本人 1万円

② 控除対象配偶者又は扶養親族(国外居住者を除く。) 1人につき 1万円
(注)控除対象配偶者を除く同一生計配偶者(国外居住者を除く。)については、令和7年度分の所得割の額から、1万円を控除する。

(3)特別控除の実施方法は、次による。

① 給与所得に係る特別徴収の場合

イ 特別徴収義務者は、令和6年6月に給与の支払をする際は特別徴収を行わず、特別控除の額を控除した後の個人住民税の額の 11 分の1の額を令和6年7月から令和7年5月まで、それぞれの給与の支払をする際毎月徴収する。

ロ 地方公共団体は、令和6年度分の給与所得に係る個人住民税の特別徴収税額通知(納税義務者用)に控除した額等を記載することとする。

ハ 特別徴収義務者は、令和6年分の給与支払報告書の摘要の欄に所得税額から控除した額等を記載することとする。

② 公的年金等に係る所得に係る特別徴収の場合

イ 令和6年 10 月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払を受ける公的年金等につき特別徴収をされるべき個人住民税の額(以下「各月分特別徴収税額」という。)から特別控除の額に相当する金額(当該金額が各月分特別徴収税額を超える場合には、当該各月分特別徴収税額に相当する金額)を控除する。

ロ 特別控除の額に相当する金額のうち、上記イ及びここに定めるところにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後令和6年度中に特別徴収される各月分特別徴収税額から、順次控除する。

ハ 地方公共団体は、令和6年度分の公的年金等に係る所得に係る個人住民税の税額決定通知書に控除した額等を記載することとする。

ニ 特別徴収義務者は、令和6年分の公的年金等支払報告書の摘要の欄に所得税額から控除した額等を記載することとする。

③ 普通徴収の場合
イ 令和6年度分の個人住民税に係る第1期分の納付額から特別控除の額に相当する金額(当該金額が第1期分の納付額を超える場合には、当該第1期分の納付額に相当する金額)を控除する。

ロ 特別控除の額に相当する金額のうち、上記イ及びここに定めるところにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、第2期分以降の納付額から、順次控除する。

ハ 地方公共団体は、令和6年度分の個人住民税の税額決定通知書に控除した額等を記載することとする。

(4)道府県民税及び市町村民税における特別控除の額は以下のとおりとする。

① 道府県民税における特別控除の額は、特別控除の額に、その者の道府県民税所得割の額をその者の道府県民税所得割の額と市町村民税所得割の額との合計額で除して得た数値を乗じて得た金額とする。

(注)上記の「道府県民税所得割の額」とは、特別控除の額を控除する前の道府県民税所得割の額をいい、上記の「市町村民税所得割の額」とは、特別控除の額を控除する前の市町村民税所得割の額をいう。

② 市町村民税における特別控除の額は、特別控除の額から道府県民税における特別控除の額を控除して得た金額とする。

(5)特別控除の額は、他の税額控除の額を控除した後の所得割の額から控除することとする。

(6)以下の額の算定の基礎となる令和6年度分の所得割の額は、特別控除の額を控除する前の所得割の額とする。

① 都道府県又は市区町村に対する寄附金税額控除(ふるさと納税)の特例控除額の控除上限額

② 公的年金等に係る所得に係る仮特別徴収税額

(7)特別控除による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。

(8)その他所要の措置を講ずる。

(注)今回の特別控除の緊要性に鑑み、これを円滑かつ早急に実施するため、総務省は直ちに必要な準備作業に着手すること。具体的には、地方公共団体や特別徴収義務者が早期に準備に着手できるよう、法案の国会提出前であっても、制度の詳細についてできる限り早急に公表するとともに、関係省庁ともよく連携しながら、制度の趣旨・内容等について、丁寧な周知広報を行うこ
と。




関連記事