貸借対照表について②

2023年05月30日 :

税理士の飯倉です!

貸借対照表の見方について

引き続きやっていこうと思います。

前回のブログでは資産を現金、負債を借金だけで説明していましたが

例えば資産が3億円、負債が1億円の会社があるとします。

図で表すとこんな感じです。

貸借対照表について②

これだけ聞くと負債を返済しても資産が2億円残るから

問題なさそうな会社だということになりますが

この資産の内訳が非常に重要となってきます。

資産が全て現金だったり近いうちに入金されてくるような売掛金等であれば

何の問題もないのですが

たとえば現金が1,000万円しかなくて

残りの2億9,000万円が本社の土地、建物だったらどうですか?

また、この現金の状況で負債1億円の内訳も

来月に支払いが来る手形が3,000万円で長期返済の借入が7,000万円だったら?

図で表すとこんな感じです。

貸借対照表について②

本社の土地建物も資産に変わりはないのですが

資金繰りが厳しいからって簡単に現金化できますか?

難しいですよね、、、

今言っていることは細かく説明されれば当たり前のことを言っているだけなのですが

いざ貸借対照表としてみると

このような当たり前のことが考えられなくなる方が多くいるような気がします。

(決算書を見るときに身構えてしまい、シンプルに考えられなくなっているんだと思います。)

貸借対照表を見る上で僕が重要だと考えているのは

当座資産がどのくらいあるのか

当座資産に対して流動負債はどのくらいあるのか

だと思っています。(当座比率)

当座資産というのは現金、売掛金、受取手形などの

現金とこの数か月の間に現金化される資産を言います。

それに対して流動負債というのは

1年以内に支払いをしなければならない負債です。

※流動資産という言葉もあるのですが

 1年以内に現金化される資産の中に在庫等も含まれるのですが
 
 在庫は売れてくれないと現金化されないですし

 本当に売れるかもわからないので除いて考えた方が良いかなと思います。

上の例で行くと当座資産は1,000万円なのに対して

流動負債は3,000万円ということです。

これ、すごい危ない状態なんですね。

貸借対照表上は純資産(資産から負債を除いた差額)は2億円あり

会社の健全性を表す自己資本比率(資産のうち、負債以外で賄っている割合)で考えると

67%(純資産2億円÷資産3億円=67%)と超優良企業なのですが

短期的な支払い能力を表す当座比率(流動負債に対する当座資産の比率)は

33%(当座資産1,000万円÷流動負債3,000万円=33%)と危険ゾーンです。

このような状態になってしまうと黒字倒産ということも考えられます。

会社がつぶれる原因ってわかりますか?

良くイメージされるのは赤字が出続けるというのが

分かりやすいかもしれませんが

赤字が出るだけでは会社は潰れません。

会社がつぶれる時というのは

現金が無くなった時です!

赤字が続いて現金が無くなったら会社は潰れますし

赤字が続いても現金があれば潰れませんし

逆に黒字でもこの例のように支払うときに現金が無ければ会社は潰れます。

スタートアップの企業などは大きな赤字を出しても

それ以上に出資等でお金を集めることができ

赤字なのに会社のお金が増えているということもよくあります。

この純資産が2億円の会社というのは

要するに過去2億円くらいの利益を出してきているということです。

そんな素晴らしい会社が一時の資金繰りの失敗で

来月手形で不渡りを出して倒産の危機になる可能性があります。

この例に出している会社は極端ですが

このような形で会社の貸借対照表に資産はいっぱいあるんだけど

現金はあまりないという会社は多くあります。

貸借対照表は基本的にその会社の安全性を図ることができるのですが

今回お伝えした当座資産をいかに多く持っておくかが

潰れない会社にするために重要なことです。

要するに現金さえあれば会社は潰れません!

そのために利益を出して現金を貯めることも大事ですが

金融機関さんとうまく付き合い

余分だと思っても手元の現金をある程度確保することが

将来の会社を救うことになるかもしれません。


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